あなたになら言える秘密のこと

the secret life of words

 

 つらい思いが心の扉を閉ざし、どこにも居場所がないと感じた時はありませんか?

そんな時に出会った印象深い一本です。

 

ヨーロッパのどこかの街に住んでいる女性ハンナ・アミラン。彼女は、工場で黙々と働き、シンプルな食事を口に入れ・・そんな決まった生活を淡々と送っていた。

 

そんなハンナに、会社から一か月の休暇が与えられ・・いや無理やり取らされ・・仕方なく海辺の街へ旅をする。そこで、油田の採掘所の火災事故で重傷を負ったティム・ロビンス扮するジョゼフの看護をする短期の仕事を引き受けることに。

 

海上に浮かんだ採掘所で、時を一緒に過ごすコックや技師や海洋学者たちは、皆陸では生きにくい不器用な人たちばかり。そんな中で、いつの間にか同じ席についているハンナを見ると、何かあっても生きていける場所はあるのではないかとほっとさせられる。

 

寡黙なハンナとすべてを失ったジョゼフ。時間を重ねジョゼフの回復とともにふたりの信頼関係は深まっていく。明日ヘリコプターで陸の病院に運べるという前夜、ハンナはとうとう自分のことを話し出します。

 

その告白が当時の私にはまったく想像のできなかった衝撃的な内容であり、おそらくジョゼフも心が震える思いをしたことでしょう。ふたりは心の奥深いところで共感しあえたかに思えましたが、ハンナは黙って去っていきます。

 

傷が回復したジョゼフは、彼女を探し出し一緒に生きることを申し出ます。彼女の傷は一生癒えることはことはないし、誰も救うことはできないくらい深い傷。でも、少しだけほっとできる場所を見つけることができたのではないでしょうか。お互いにとって・・・。

 

監督・脚本はイザベル・コイシェ。「死ぬまでにしたい10のこと」の監督でもあり、どちらも主演は同じサラ・ポーリー。ペネロペ・クルス主演の「エレジー」も同監督で、こちらも印象的です。 崖っぷちにいる女性の静かなともし火のような情熱を描くと絶品というところでしょうか・・。

 

スペイン映画ではありますが、英語を使っているためか監督の視点からか・・無国籍映画に感じるのも印象的に思えます。

 

ティム・ロビンスをかっこいいと思いました。

 

 

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