しあわせな孤独

Open Hearts

 

 前回essay22「愛さえあれば」の監督スザンネ・ビアについて。

 

 

 かなり前になるのですが・・・あまり馴染みのないデンマークの小さな作品について、TVや雑誌などで度々取り上げられたことがありました。その映画は「しあわせな孤独」(2002)という題名で気にはなりましたが、観ることはなく時が過ぎました。

 

 その後、2010年に「タイタンの戦い」を劇場で観たときに・・・主人公のサム・ワーシントン演じるペルセウスより護衛兵隊長役のドラコに魅せられてしまったのであります。

 演じていたのがマッツ・ミケルセンというデンマーク人俳優で、プロフュールで「しあわせな孤独」出演と知り・・・さっそくTSUTAYAに走ったのでした。

 

 

 

 しあわせな孤独のストーリーですが・・・前途洋々であった青年ヨアヒムが運悪く車に激突されて、首から下が麻痺してしまいます。彼の恋人であるセシリは寝たきりの彼に寄り添おうとしますが・・・ヨアヒムは絶望から彼女を拒絶します。

 

 ショックと不安で心が壊れていくセシリに、勤務医であるニルス(マッツ・ミケルセン)が同情から手を差し伸べます。深入りは許されないふたりでしたが・・・それぞれの孤独な魂が引き合うかのようにお互いを強く求めるようになるのでした。

 

 実は、ニルスの妻が運転していた車で事故が起こっているという事情もあり・・・子供たちも絡んで日本の昼メロのようなハラハラ泥沼状態へとなっていきます。はたして結末は・・・?

 

 

 結末を言ってしまうと・・・皆がそれぞれ一人で生きていく事を選択します。

 これは日本的にはなかなかないラストなので印象的でした。

 

 

 ひとりで生きていくといっても、それはある意味精神的に自立をするということで・・・全く孤独に生きるというわけではない。

ひとりでいる状態の時も、自分に満足して幸せを感じる者だけが、結局は人を幸せにできるのでは・・・と、私は解釈しました。

 

 

 誰でも孤独は怖い。でも、基本的にはひとりでいる満足感を知っている人は、幸せではないでしょうか。

 この映画を観て以来・・・孤独でも幸せな瞬間に、「あっこれ、しあわせな孤独」・・と思い出すくらい私には衝撃的なメッセージでした。

 

 この映画の監督がスザンネ・ビアであり・・・「愛さえあれば」を書くときに調べて驚いたのでした。

 

 

 

 実は、もう一つ彼女の作った映画と知って驚いたのが・・・「悲しみが乾くまで」(2007)。これはアメリカでの制作です。

 

 

 ベネシオ・デル・トロとハル・ベリーが、麻薬中毒で苦しむ行き場のない男性と、愛する夫を事故で亡くし人生を見失った女性を淡々と・・・そしてセクシャルに演じています。

 

 重く暗く息苦しい場面が多い映画なのですが・・・それでも繰り返し観てしまったほど、不思議な一本だったのです。

 

 

 なるほど・・・女性監督であったのか・・・。

 

 そして配役のうまさに唸りました。ピアーズ・ブロスナン、マッツ・ミケルソン、ベネシオ・デル・トロ!?それぞれのお国柄を生かした色男をボロボロに演じさせながらも、よりイケメン度が高くなるという見事なスザンネ・マジック!

 

 

 そして彼女の視野は、とても広く・・・2011年度のアカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞の「未来を生きる君たちへ」で、身近な問題と世界の問題を同時に扱えることがわかります。

 

 また非常に重たいテーマを扱いながら、抑えめな希望の光も忘れないのが、特徴といえるかと・・。

「愛さえあれば」は、めずらしく光をメインにしたのでしょう。

今思えばですが・・・。

 

 

 しかし、彼女のおかげで、デンマークという国がちょっと身近になったのは確かです。デンマークと共に、北欧についても気にしていきたいと思いました。

                        (2014・1・16)

 

                   前のページへ

 

                   次のページへ

 

                 映画部屋のトップへ

 

                   ホームへ